UD IHクッキングヒーター 利用者の声:火の不安を解消する安全と使いやすさ
ユニバーサルデザイン(UD)の考え方は、年齢や身体的な特徴、能力の違いにかかわらず、誰もが快適に、そして安全に利用できる製品や環境を目指すものです。家電製品においても、このUDの視点が取り入れられることで、これまで特定の機能を使うことに難しさを感じていた方々が、より自由に、自立して生活を送るための助けとなっています。
この「UD家電 みんなの声」では、実際にユニバーサルデザイン家電を利用されている方々の生の声をお届けしています。今回は、火を使わない調理器具として、特に安全性が注目されているIHクッキングヒーターに焦点を当て、UDの観点からどのような工夫がなされ、それが利用者の暮らしにどのような変化をもたらしているのかを見ていきます。
IHクッキングヒーターのUD性:火の不安を解消する安全機能
ガスコンロでの調理は、火の扱いに対する不安を感じる方もいらっしゃいます。特に高齢の方や、特定の状況下では、火の立ち消えや着衣への引火、やけどなどのリスクが懸念されることがあります。IHクッキングヒーターは、製品そのものが火を使わない「電磁誘導加熱」という仕組みを採用しているため、このような火に関する直接的な不安を大きく軽減します。
利用者の方々からは、以下のような声が聞かれます。
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Aさん(80代女性): 「ガスコンロの火の管理がどうも心配で、簡単なものしか作らなくなっていました。でも、IHに変えてからは火が出ないので安心できます。うっかり火を消し忘れる心配もありませんし、袖に火が燃え移るという恐れもなくなりました。」
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Bさん(70代男性、軽度の認知機能低下): 「タイマーで自動的に切れる機能があるので助かります。以前は鍋をかけたまま他のことをしていて焦がしてしまうこともありましたが、今はタイマーをセットしておけば忘れても安心です。空焚き防止機能もついているので、うっかり鍋を載せずにスイッチを入れてしまっても大丈夫だと言われて、ホッとしました。」
これらの声にあるように、火を使わないこと自体に加え、空焚き防止機能や鍋がない状態での加熱停止機能、設定時間が経過すると自動で電源が切れるタイマー機能などは、調理中のリスクを大幅に減らし、安心してキッチンに立つことを可能にします。単に熱を発生させるだけでなく、利用者の安全を第一に考えたこれらの機能は、UDの重要な側面と言えるでしょう。
操作パネルの工夫:誰でも迷わず使えるように
IHクッキングヒーターは、火を使わない代わりに操作パネルを使って火力や加熱時間を設定します。この操作パネルの使いやすさも、UDにおいて重要な要素です。小さなボタンが密集していたり、表示が分かりにくかったりすると、操作に戸惑い、製品の機能を十分に活用できないだけでなく、誤操作による危険にもつながりかねません。
UDを意識したIHクッキングヒーターでは、操作パネルに様々な工夫が凝らされています。
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Cさん(視覚障がいあり): 「以前のIHはボタンがフラットで、どれがどのボタンか触っても分かりにくかったんです。でも、今使っている機種は主要なボタンが少し盛り上がっていたり、操作音で設定が変わったことが確認できたりするので、手探りでも操作しやすくなりました。機種によっては音声ガイドがついているものもあると聞いています。」
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Dさん(関節の動きに制限あり): 「物理的なボタンが大きいのは本当に助かります。以前は小さなタッチパネルを正確に押すのが難しかったのですが、このボタンなら指先だけでなく、手のひらでも押しやすいです。表示も大きく、コントラストが高いので、眼鏡をかけていなくても設定が見やすいです。」
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Eさん(80代女性): 「ダイヤル式の火力調整は、直感的に操作できて分かりやすいです。回すだけで火力が強くなったり弱くなったりするのが感覚的に理解できます。複雑な操作は苦手なので、これくらいシンプルな方が使いやすいですね。」
大きなボタン、高コントラストで見やすい表示、触覚的な識別を助ける工夫(ボタンの形状や配置)、音声ガイド機能、そして物理的なダイヤル操作など、これらのUD的な工夫は、様々な身体的特徴を持つ利用者が、製品の操作に迷わず、ストレスなく調理を進めることを可能にします。操作の分かりやすさは、安全な利用にも直結します。
お手入れのしやすさもUDの視点
IHクッキングヒーターの多くの機種は、トッププレートがフラットな形状をしています。これは掃除のしやすさという点でもUDに貢献しています。
- Fさん(70代男性): 「ガスコンロの五徳を洗うのが重労働でしたが、IHはトッププレートが平らなので、調理後すぐに拭くだけできれいになるのが嬉しいです。毎日のお手入れが楽になったので、キッチンをきれいに保つモチベーションも上がりました。」
このように、日常的なお手入れの負担が少ないことも、製品を長く快適に利用するためのUD的なメリットと言えるでしょう。
まとめ:IHクッキングヒーターがもたらす安心と自立
ユニバーサルデザインの視点からIHクッキングヒーターを見ると、火を使わない安全性、操作パネルの使いやすさ、そしてお手入れのしやすさなど、様々な工夫が利用者の「困りごと」を解決し、「メリット」をもたらしていることが分かります。
利用者の生の声は、カタログスペックだけでは分からない、実際の生活の中での価値を示してくれます。「安心して調理できるようになった」「自分で操作できるのが嬉しい」「料理をするのが楽しくなった」といった声は、UDが単なる機能向上に留まらず、利用者のQOL(Quality of Life:生活の質)向上に貢献していることを物語っています。
製品を選ぶ際には、このような具体的な利用者の声や、製品に施されたUDの工夫が、どのような「困りごと」を解決し、どのような「メリット」をもたらすのかという視点を持つことが重要です。多様なニーズに応えるUD家電は、利用する方々一人ひとりの安全で快適な暮らしを支える力となります。